「切る」と「剪る」の違い
「切る」とは傷つけることであり、極端なことを言えば死に向かわせる行為でもあるから、相手に対する配慮もなく無慈悲に切り捨てるイメージである。
「剪る」は剪定の剪るであり、「切るべき枝を吟味して選んで落とす」意味合いがあるから、少なくとも無慈悲ではなく生きてほしいという思いがそこにはある。
ハサミとノコギリがあれば誰にでも木は切れるが、知識と愛がなければ、いくら道具があっても木を剪ることはできない。
勝手なところで寸胴切りすることで木がどれほどのダメージを受けるのか及ばないならば、それは「枝切り」であって「剪定」ではない。
【枝切り】
「枯れたって構いやしないから、そこらで切ってしまえ」
愛と理屈のない切断行為は、ただの枝切りである。
【剪 定】
「ここで剪っておけば中の枝が枯れずに済むだろうか、花芽を落とさずに残せるだろうか。」
位置、角度、時期、意味などを吟味して剪ることが剪定である。
参考文献 木下透『剪定「コツ」の教科書』講談社2022年