樹木とアリ
1.アリは肉食で木は食べない
クロマツなどでアリが健全な材をかじって作ったような巣がある。このためアリは駆除対象の害虫とされてきた。
しかし、このような巣をよく観察するとシロアリの巣を利用していることが分かる。
アリはシロアリを見つけると、その巣を攻撃し幼虫や蛹(さなぎ)を捕食し、その巣も奪ってしまうのである。
アリは肉食であり、シロアリと異なり材を食害しているわけではない。
2.アリは清潔好き
アリが樹幹内部に穴を開けている部分をよく見ると、腐朽が入りかなり劣化している部分ばかりであり、健全な部分をかじっているのではない。
アリはとても清潔好きであり、菌類を好んで食するので腐朽菌の菌糸やカビなども食べてしまう。腐朽材にアリが入ると内部は腐朽部分の空洞化は促進されるが、腐朽そのものは拡大が阻止されることが多い。
3.アリとサクラは共生関係
サクラ類の葉には蜜腺があり、アリを呼ぶためと考えられる。アリは葉から分泌される甘い液を舐めにきて、ついでに葉上を徘徊して食葉性昆虫や吸汁性昆虫等を捕食してくれる。
この共生関係はキリンとアカシアでも観察されている。
(参考文献) 堀大才著「絵でわかる樹木の知識」 2012年 講談社