はじめに松ありき
海流が砂浜をつくる年月は見当のつけようもない。浜に新しくできた土地に『パイオニア樹木の松』がまず生え、その松が大きく成長する。そして、その下にシイノキなどの照葉樹が生活し始める。
新しく生まれた土地に、はじめて一年生の草が芽吹いてから、照葉樹の樹木が侵入して林をつくり始めるまでの時間は、300年から500年は必要である。
荒れた浜などに、他の樹木にさきがけて根をおろし、生育する松に対し、古代の人々は畏れと尊敬の念を抱いたのである。
参考文献 有岡利幸「松と日本人」講談社 2022年